

◇ひかり歯科クリニック 佐藤貴映先生◇
【使用レンズ倍率:5倍】
■ 技術を身につける最短コース
今回ご紹介する佐藤先生は、指導を求めて訪れる若い先生を、勤務医として数多く引き受けてきました。佐藤先生が“ひかり歯科で修行したい”という先生方に対して最初に義務づけるのが、サージテルを使うこと。
「かつて、技術を身につけてから拡大鏡を買いたいと言った人がいました。それは間違っています。むしろ、技術を身につけたいからこそ、使うべきなのです」
佐藤先生によると、技術を習得しようにも、対象がよく見えていなければ、自分に何が足りないのかも、わからないとのこと。
「マージンの形成ひとつにしても、見えている状態と見えていない状態では、やれることが大きく違ってきます。よく見えることは、技術を身につけるための最短コースにつながるんです」
指導に関するエピソードを、もうひとつ紹介しましょう。
「以前、来ていた後輩がサージテルを忘れてきたことがありました。そのときは、『いったい何をしに来たんだ。帰れ』と言いました。サージテルを使わずに、どうやって患者さんを診療するのか。厳しいようですが、裸眼の医師に、自分の患者さんを任せるわけにはいかないんです」
一方、先生はこうも言います。
「僕は1日40人の患者さんに対して、それぞれベストの治療をしているという強い自負があります。若い先生には、技術も拡大することの意味も、そんな僕の姿を見ることで覚えて欲しいし、わかって欲しいんですけどね。
僕も、最初から拡大鏡を使っていたわけではありません。でも開業していれば、いつか近隣の医院に追い抜かれるかもしれない。そうならないためにも、患者さんに対して最大限に良い治療を提供し続けなければならないし、そのための努力も続けなければならないんです」
事実、佐藤先生は、JIADSやくれなゐ塾を始め、様々なセミナーに数多く参加しています。
「セミナーを受講して、これは良いな、自分の診療に取り入れたいなと思う技術や材料、道具の情報を常に得ていないと、そこで成長が止まってしまう。ひかり歯科に修行に来る人たちに対しては、良いものは何でも取り入れる僕のような人間が身近にいることで、良い刺激になってくれればいい、そう思っています」
■ 歯科医師の眼

今では最高倍率のレンズを使用している佐藤先生ですが、初めてサージテルを使ったときの感想は、どのようなものだったのでしょうか。
「よく見えるようになったことは当然ですが、まず肩こりや腰痛がなくなりました。使う以前は、よく見ようとして、腰を曲げて患者さんに近づいていたんです。一日の診療が終わって家に帰ると、よく妻に、『肩揉んで』『腰揉んで』と言っていました。でも、使い始めてからは言わなくなりましたね」
「快適なポジションをとるだけなら、背筋を伸ばせばいいのです。でも、ただでさえ裸眼なのに、患者さんから離れたら診療などできなくなる。サージテルをつければ、よく見える上に理想のポジションもとれる。つらい姿勢で診療している先生を見かけるたびに、使えばいいのになと思います」
それでは、実際の治療の面では、どのような効果があったのでしょうか。
「根管の例で言うと、上顎6番の第4根管が、ほぼ見えるようになりました。下顎の遠心根も、2根管目がわかるようになりました。裸眼で治療をしていた頃は、レントゲンを見た上で勘に頼って探すことが多かった。でも今は、レントゲンを見て、ここにあるなとわかれば絶対に探せますし、わからなかったとしても、探せば、まず見つかります」
「平面にするレントゲンでは、重なっている根管はわかりません。実際にどうなっているかは、自分の目で見てみなければわからないんです。レントゲンは補助、サージテルで確定です」
根管に限らず、診療すべてについて勘に頼るのではなく実際に自分の目で見る。そのためには裸眼では限界があるので、拡大して見えるようにする。このように、すべての診療はよく見ることから始まる。佐藤先生はそう言います。
「歯科には、多くの道具があります。削るにはタービンが、オペをするにはメスが必要です。それらもサージテルをつけた上でのこと。どんな診療をするにも、見えないものを大きくして見えるようにする。これは本当に大事なことなんです」
インタビューの最後に、先生にとってのサージテルを一言で表現してくださいとお願いしました。
「患者さんを診療する“眼”ですね。つけなければ薄目。つけて初めて、歯科医師の眼になる。だからセミナーの実習に参加するときも、友人の医院を手伝うときも、もちろん自分のサージテルを持っていきます。忘れたら診療はしません。…白衣はたまに忘れますけどね」
(2005年3月編集)