富澤季絵さんが歯科衛生士を目指したのは、4年制の一般大学に通っていたとき。
学生生活と並行して歯科助手のアルバイトをしているうちに、
歯科医療の仕事につきたいという気持ちが募っていきました。
「臨床には出ていたけれど、"どうしてむし歯になるのか"などの説明がきちんとできなくて。
それが悔しかったし、自分自身も専門的なことがもっと知りたくなったんです。
動くなら若いうちだ! と、大学を中退して歯科衛生士専門学校へ通うことにしました」
こうと決めたらすぐに行動するのが富澤さん。
その行動力が、歯科衛生士としての成長につながっています。
■ 積極的に動くと、新しい世界がどんどん見えてきます!
現在の医院で働くことになったのは2年前。院長の著書を読んで感銘を受け、「先生の治療を一度見学させてください!」と電話をしたのが始まりでした。あまりに突然で、最初は先生もさすがに驚いていましたよ(笑)。でも、その熱意を買ってくださったのか「君みたいなガッツがある子は珍しい。歯科衛生士を募集しようと思っていたんだけどどう?」と誘っていただいたんです。ちょうど私も転職するタイミングだったので、運がよかったですね。チャンスはどこに転がっているかわかりません!
実際に働き出してみると、すごく環境が整っている医院でビックリしました。特に衝撃だったのがマイクロスコープの存在。セメントアウトをした後に初めて使ってみたのですが、患者さんの口腔内に取ったつもりのセメントが予想以上に残っていたんです。それ以来裸眼で見るのが怖くなって、今は必ず拡大視野で診療しています。拡大すると、今まで気づかなかったカリエスや歯石が目に飛び込んでくるんですよね。普段使いとしてはマイクロスコープよりも、小回りの利くサージテルが便利です。
■ 治療を提案する前に、患者さんの気持ちを汲む。
それが歯科衛生士の役割だと思います
歯科衛生士が拡大して診ることは、ただ単に診療の質を上げるだけではありません。患者さんとの関係性が変わることもあります。
たとえばある女性患者さんは「歯をきれいにしたい」という気持ちが強く、いろいろとこだわる方でした。前歯の審美治療を希望されていたので「メタルボンドを一度外して、咬合を直して」と最善の方法を用意するものの、なかなか受け入れてくれず……。「この差し歯は気に入っているから外さないでほしい」「被せ物を治すだけで他はいじらないで」と注文が多いのです。あまりにこだわりが強いので話をよく聞いてみると、20年近く審美治療を繰り返してきたけれど満足できていないとのこと。自分の納得いく治療に出会えず、苦労しているのがひしひしと伝わってきました。

そこで、私たちが本当に患者さんを思っていることを知ってもらおうと、口腔内を拡大した映像を見てもらいました。「拡大して見ると差し歯が取れかかっているのがよくわかります。思いきって外したほうが絶対きれいに仕上がりますよ」。そうお話すると急に顔つきが変わって。「やっぱり先生たちにお任せしたい!」と言ってくれたんです。「自分では判断つかないところまでこの人たちは診てくれている」と実感できたのでしょうね。“拡大視野”を活用したことで、患者さんが信頼を寄せてくれたのがわかりました。
歯科衛生士は患者さんと比較的近い立場にいます。だからこそ技術だけでなく、患者さんの気持ちや生活背景を理解したうえで良いほうへ導いていく“プラスα”の部分が大切。待っていても患者さんは変わりません。私たち医療者側が積極的に動かなければいけないんです。患者さんの幸せのために、これからもすすんで行動していきたいですね!