白鳥 裕一 先生

サージテルを使って
気持ちに火がつかない人はいません。

白鳥 裕一 先生

白鳥歯科・矯正歯科(埼玉県上尾市)

EVK650(8倍) Micro Odyssey

歯科医師は8倍、歯科衛生士は6倍のサージテルを使っている白鳥歯科・矯正歯科。サージテルは医院で購入し、全員に使用を義務づけています。「歯科医師と歯科衛生士が本当に一緒になって治療に参加する体制ができた」と言う院長の白鳥裕一先生に、詳しくお話を伺いました。

初めに、白鳥先生がサージテルを使う理由を教えてください。

拡大鏡は、歯科医療者としての姿勢に関わってくるものだと思います。

僕は、歯科の治療は検査で始まり検査で終わると考えているんです。イニシャルの資料をもとに、治療の主軸をどこに持っていくのかを決め、ゴールを明確化した設計をする。そこに、補綴であればワックスが入りますし、矯正であればセットアップが入ります。ペリオもそうですね。骨を平坦化するといっても、どういう風に平坦なのか。骨を再生で上げるのか、切除で下げるのか。補綴を介在させて清掃性を良くするのか。行き当たりばったりで、最終的に歯周ポケットがなくなったというのでは話になりません。そして、ゴールの段階での資料があって、初めて良かったとか悪かったというのが見えてきます。

僕たちは、ゴールを常にチェックする姿勢でいなければなりません。患者さんからしてみたら、治療が終わったのに何のためにするの?と言われてしまうかもしれませんが、矯正でもペリオでも補綴でも、終わった段階で必ず検査をする。

医療ですから、うまくいくケースばかりではありません。自分の見たくない所も見る厳しさを持つことが必要です。

このときに、サージテルが必要になってくるんですよ。CR充填ひとつとっても、問題がなければいい、患者さんが何も言わないからいいではない。拡大して見たくないものが見えたとしても、謙虚に受け止める。そして自分の治療をアップデートしていく。サージテルを使う理由はこの点にあるんだと思います。

院長先生や歯科医師だけが拡大して見る歯科医院もあります。白鳥歯科・矯正歯科では、歯科衛生士さんも全員6倍のサージテルを使っています。ここには、どのようなお考えがあるのですか?

僕はずっと矯正の世界にいますが、いわゆる「専門馬鹿」になるのが一番怖いと思っています。矯正ができてもカリエスコントロールができなければ治療は台無しになってしまいますし、根管内の治療ができてもペリオの手術ができなければ駄目です。逆に、ペリオの手術ができても根尖病巣ができたらアウトですよね。すべてを高いレベルでやろうと思ったら、どうしても歯科衛生士の力が必要になります。

僕や勤務医がSRPをするわけではありませんし、プラークコントロールを改善するのは歯科衛生士。患者さんに熱意を持って説明するのも歯科衛生士。歯科医師だけが拡大したところで、歯科衛生士が裸眼だったら治療のクオリティは上がりません。歯科衛生士がサージテルを使う環境をつくることで、歯科医師のサージテルも生きてくるんです。

当院では、ペリオのオペをするときには必ず歯科衛生士についてもらっています。実際に歯肉を開けると、今まで歯科衛生士がやってきたSRPの「答え」がそこにあるんですよね。どういう根面形態があるのか、どんな骨の形状なのか、それゆえにどこに取り残しがあるのか。これらを必ずサージテルをつけて一緒に見てもらうんです。

そうすると、自分のSRPの技術のレベルがわかりますし、近心に当てるのが少し弱いなどの自分の癖も見えてきます。これらを認識することで自分をアップデートでき、次に行けるようになるんです。

歯科衛生士にサージテルを使ってもらうようになって、歯科医師と歯科衛生士の気持ちの温度差がなくなりましたね。オペで開けてみてうまくいっていないときは、僕よりもへこんでいるくらいです。「歯石を取っても取らなくても院長が開いて何とかしてくれるだろう」ではなくて、開いたときに真剣に状態を見て一喜一憂しているんです。歯科医師と歯科衛生士が本当に一緒になって治療に参加しているという実感があります。

最後にもう一度、サージテルが歯科衛生士さんをどう変えるのかを教えていただけますか?

今、当院に一番長くいる歯科衛生士は、以前は歯周病の治療をしたことがなく、オペも見たことがなく、今まで勉強らしい勉強をしたことがなかったという人なんですね。それが、今はすごく一生懸命やってくれていて、歯科衛生士たちの教育担当として、たとえば今週はインプラントの勉強をしようとプログラムを組んだりしています。もともと歯科衛生士で、「良い治療したいよね」と言われて「したくありません」という人はいないんですよ。ならば、どうやって良い治療をしたいという気持ちに火をつけるかです。

人間には3つのパターンがあって、自ら火をつけて燃える人間と、人に火をつけられたら燃える人間と、何をしても燃えない人間。医院には、自ら火をつけて燃える人間が一人いればいいんです。まわりを燃やすことができますから。何をしても燃えない人間は、みんなが燃えたら辞めていきます。

歯科衛生士たちは、最初はどうあれ、燃えてくれれば僕と同じ気持ちになります。だから、自ら火をつけて燃え、人を燃えさせるということが院長としてはすごく重要なんだと思います。

考えてみれば、僕にとってのサージテルは自分で自分に火をつけようと思って多少無理して買ったものでした。初めて6倍のサージテルを買ったときは大学院常勤で、勤務医として週に1.5日くらいしか働いていなかったんですよ。医院に拡大鏡を使っている先生はいましたが、他社製でしたし倍率も低かったので、僕だけいきなりベンツを買ったような感じでした(笑)。「まだ何もできないのに買ったの?」みたいな雰囲気がありましたね。

白鳥歯科・矯正歯科で歯科衛生士が育ってくれた大きな理由のひとつは、サージテルが「着火剤」となって歯科衛生士が燃えてくれたから。サージテルを使って気持ちに火がつかない人ってそうそういないですよ。