INTERVIEW
03
黒河 恵さん

歯科衛生士の仕事が、
年齢を忘れさせてくれる

黒河 恵さん

あきら歯科 / 東京都

EVK550(7倍)

  • 新しい人生への挑戦
  • サージテルは身体の一部
  • 生きがい

ある50代向けの女性誌に、次のような言葉が書かれていました。「女は、年齢という数字に縛られていく性。その呪縛から解き放たれることはないだろう。でも、“30代はまだ子ども”と言われれば子どものようにもなれる。それほど、年齢観は心身を支配するもの」黒河恵さんが歯科衛生士学校に入学したのは、45歳のとき。ちょうど上の息子さんが大学を卒業する年だったといいます。「クラスメイトは自分の子どもよりも年下ですし、この年齢で私が学校に通うのか……という感じでした(笑)。だけどあれ以来、年をとっている気がしないんです!」何かを始めるのに遅すぎることはなく、いくつになっても人生のステージは上がり続ける。現在56歳になる黒河さんは、それを証明してくれています。

資格を持ち、イキイキと働く
姿がうらやましかった

もともとは私、本当に普通の主婦だったんです。パートはしていましたけど、正規でバリバリ働くっていうのはなくて。それが、30代後半でたまたま就くことになったのが歯科助手の仕事。全部で7年働きましたが、まさかそのまま歯科衛生士学校に通って資格まで取るとは(笑)。全然、夢にも思いませんでした。

助手も長年やっていますと、それなりに自分の中で「この世界のことを突き詰めたい」という気持ちが出てくるんですね。患者さんの口を触れるようになりたいとか、よりステップアップした業務に挑戦したいとか。ただ、どんなにやる気があっても、助手ではできることに限界があります。「もし私が患者だったらこうしてもらいたい」とか「私が歯科衛生士だったらもっとこうできるのに」とか。歯がゆい思いが、毎日の仕事を通して次第に強くなっていきましたね。

なかでもやりきれなかったのは、あとから入ってくる新人歯科衛生士たちが成長していくことです。最初はおぼつかない雰囲気でも、資格があれば責任ある仕事を任されますから、そのうち長く勤める私をどんどん追い越していきます。それは仕方のないことだとわかりつつ、正直うらやましくって……。

そんな話を周りにこぼしていたときに、ある知り合いから言われました。「もう、資格取っちゃったらいいんじゃないの?」。「えー!? 自分の子どもより若い子たちに混じってできるわけない」って目からウロコでしたけど、このままモヤモヤした日々を過ごし続けるのももったいない!思いきって家族に相談したところ、みんな理解を示してくれました。それで、新たな人生へと踏み込む大チャレンジをすることにしたんです。

問題の原因を〝見つけられること〟が、プロの自信になる

在学中も、卒業して臨床に出るようになってからも、とにかく努力努力でした。当時は40代も半ばでパッと見は〝超ベテラン〟ですが、実際には一番の未熟者(笑)。「え、あの人大丈夫?」って思われないようにしなきゃというのは、常々感じていました。歯科衛生士としての資格がある以上、患者さんの目にはプロとして映るわけですから。

スタートが遅い分、中身を濃いものにしたかったので、まずは現場を踏むことに集中しました。休みの日も医院に出向いて先輩の診療を見学させてもらったり、使える時間はすべて使ってできるだけ多くの患者さんを診させていただいたり。早く見た目に追いつきたいというか、年齢相応のレベルに達するため必死だったんです。そのとき意外と心強かったのが、サージテルの存在ですね。歯科衛生士は医療者として、深い視点から見たり考えたり原因を追究していかなければなりません。口腔内の現状がしっかり見えることが、プロでいる自信につながったんですよ。

たとえば「歯がしみる」とおっしゃる患者さんがいらした場合、裸眼だけだとその原因は断定しにくいです。だけど、拡大してよくよく見ると「これはむし歯じゃないな。WSDがずいぶん奥まで進行しているんだな」とハッキリしたことがわかります。さらにマイクロで患部をクローズアップしながら「ここの大きなクビレがしみる原因です」とお伝えでき、口の中で何が起きているのかを患者さんにきちんとご理解いただける。そこからマウスピースの提案につながった方が何人もいらっしゃいましたから、実績を積むためにも欠かせなかったなと思います。もちろん今だってなきゃ困るもの。もはや体の一部ですね、サージテルは!

歯科衛生士の仕事は、私にとってハンパない生きがい

逆に、コミュニケーションという点では今までの経験が活きているかもしれません。40何年も生きていれば、いろんな人や環境を見てきています。「自分が子どもを病院へ連れて行くときこういうことに困ったな」であったり、「あぁいう手助けをしてもらってうれしかったな」というのもそうですよね。そういった目線での気配りや接し方というのは、若い方たちには少し難しいじゃないですか。患者さんの気持ちに寄り添う必要があるときなんかも、人生の経験が役立っているなと思います。

年齢も年齢だし、こんな歳でスタートってだいぶ遅いし。歯科衛生士学校に入る決意をするまでには、そうやって心の中で言い訳をすることもたくさんありました。だけど、あのとき勇気を出していなければ「もっとやりたいけどできない」という気持ちをズルズルと引きずったままの人生になっていたと思う。今こうしてすがすがしい気持ちで毎日を過ごせているのも、一歩踏み出したからなんです。

それに私、歯科衛生士の仕事をしているときって不思議と年齢を感じないんですよ。朝体調が良くないなっていう日ももちろんありますが、お休みするわけにいかないので職場に行きますよね。スタッフや患者さんとお話しているうちに、いつの間にか治っちゃってますよね(笑)。「今日も診てもらえて良かった」「もっと早くあなたに出会いたかったわ」なんて患者さんから言われようものなら、五十肩もなんのその! これで「具合が悪い」って寝てばかりいたら、さらにダメになってしまうと思います。こんな自分でも必要としてくれる人がいるという、その励みが私を引っ張り上げてくれるんです。

今年で56歳なので一般的な定年まではあと4年しかないんですけど、そこで辞める気、全然ないです。働ける場所がある限り、自分のことを必要としてくださる人を一人でも多く増やしたいって思っています。本気でやりたかった仕事ができる充実感は、私にとってハンパない生きがいなんです。