井上 季実子 先生

矯正治療専門だった私を、
8倍のサージテルがスピード成長させてくれました。

井上 季実子 先生

横浜桜木町歯科(神奈川県横浜市)

EVK650(8倍) Micro Odyssey

サージテルやマイクロスコープを使った精密な治療をコンセプトとする横浜桜木町歯科。矯正部門を担当するために着任した井上季実子先生は、かつては一般歯科に対して"負のイメージ"をもっていたそう。歯科医師全員がサージテルを使う環境に刺激されて一般歯科を行なうようになった井上先生に、ご自身の変化についてお話を聞きました。

井上先生はもともと矯正専門だったとお聞きしました。横浜桜木町歯科に着任後、一般歯科も行なうようになった理由は何ですか?

私は歯科医師になって14年目です。大学院の矯正科に進み、その後はずっと矯正一筋で歩んできました。5年前に横浜桜木町歯科へ来たときも矯正患者さんだけを診ていたんです。

転機が訪れたのは3年ほど前、医院に2名の若い歯科医師が加わったときです。私は彼らに矯正を教える役目だったのですが、彼らが一般歯科の分野でサージテルを使ってメキメキと力をつけていくのがわかったんですよ。その姿が刺激になりました。ライバルではないけれど、私もやればきっとできるのではないかと。

当院では、精密治療を通じて再治療することなく歯を長持ちさせることがコンセプトになっています。そのために、院長はじめ一般歯科の歯科医師は全員サージテルを使っています。そこで院長に「一般歯科もやりたいので、私にもサージテルを買ってください」とお願いしたんです。

実際にサージテルを使ってみて、どんな感想を持ちましたか?

最初に使用したのは水平埋伏した親知らずの抜歯です。6倍とライトを使っての治療でしたが、歯冠を除去した後、輪切り状になった歯根の真ん中に歯髄がきれいに見えました。さらに、歯根を水平に分割した際、「何これ? 歯髄が根尖のほうまで見える! 歯根膜腔も見える!」って。あのときは感動しましたね。

ヘーベルを歯と骨の間に入れるときも、歯と骨の色や質感の違いがわかるのでやりやすいんです。歯根の分割前に歯を揺らすときも、"グラッと全体が揺れている"とわかりました。小さな揺れを感知できるというか。だから、スピーディに歯根分割にいけます。親知らずは、抜けなきゃ患者さんは帰れません。時間も短縮できるので安心して処置できましたね。また、縫合も繊細にできるので、きれいに粘膜を合わせて縫合すると治りも早いと実感しています。

矯正出身でそれまでほぼメスを使ったことのない私がここまでできたのは、我ながら驚きでした。経験がない外科でも、「上手にできる」というより「安全にできる」ことで数をこなせます。そうすると、どんどんうまくなれます。サージテルを使えば、一般診療をしてこなかった10年をすぐに取り返せるんじゃないかと思いました。今でもたまに思い出す、その後の私を作った体験です。

先生はその後、6倍から8倍へ倍率アップしました。
8倍の感想を教えてください。

使ってみると、やっぱり8倍のほうがいいですね。

例えば、クラウンの支台歯形成でマージンの幅をどれくらいとるか。金属やセラミックなど素材によって何ミリという設定がありますが、バーの太さが1.6ミリなら、バーの半分を入れれば0.8ミリとわかります。バーの3分の1とか3分の2とか切削量を決めれば、削り過ぎを防ぎながら厚みが均一になるように形成できます。また、歯肉縁下に不必要に深く削り過ぎないように気をつけることができます。これは6倍でまったくできないというわけではありませんが、8倍なら確実にできると思います。患者さんにしてみれば、歯肉の炎症なども起こりませんし、審美的にも良好で長持ちするものになります。

また、コア除去なども6倍より8倍が安全に行なえると思います。歯質を削らずにコアのみを削るためには、しっかり見えてないと怖くてできないし時間もかかると思います。

ただし、これはサージテルのライトも使っての話ですね。6倍と8倍の違い以上に、ライトがあるとないとではまったく違います。研修会などで、無影灯だけだったり市販のライトを無理に付けて使っている先生のお話を聞くことがありますが、やはりやりにくそうですから。当院はライトも1人1台なので、本当に良い環境だなと思います。

最後に、サージテルを使うようになって何が一番変わりましたか?

きちっとマージンが合った補綴物を入れる。セメントを取り残さない。長いコアの除去も安全に行ない、必要な根管治療も行なっていく。これらを精密にやるのは、地味だけどすごく大事なことです。できていなければ、その結果は患者さんが受けることになります。「せっかく治したのに、どうしてまた同じところがむし歯になるの?」「根の治療をやり直さなければならないの?」って。永続性がある治療、つまり、やり直さなくて済む治療には、やはりサージテルが必要不可欠です。

実は矯正だけをやっていたとき、一般歯科に対して「不必要に削るリスクがある」とか「結局、再治療になる」とか、負のイメージを持っていたんですよ。でも、サージテルを使うことで永続性のある治療ができるんだ、患者さんを本当に良くできるんだとわかりました。負のイメージが消えてプラスに捉えられるようになり、治療がすごく楽しいものになりました。これが一番大きな変化ですね。

また、初診の患者さんに対して指摘や提案できることが大幅に増えました。以前は歯並びについてだけ話していたのが、話す内容が変わりましたね。今は、根尖病変があるからまずは根管治療が必要とか、専門医を紹介したほうがいいのかなど、その治療の難易度についてお話しています。歯周病がある患者さんについては歯周外科を含めた初期治療をしてから矯正とか、カリエスの応急処置をしっかりしてから矯正を始められるとか。根管治療や歯周外科、補綴についても以前より自信を持って相談に乗ることができるようになり、総合的な視点で提案できるようになりました。

補綴についても、歯並びによって難しくなることが多いと実感しています。主訴が歯並びでなくても、矯正をすることによって対合歯とのクリアランスがとれる、歯軸を整えられるなどのメリットを説明し、矯正治療を始める方もいらっしゃるようになりました。

さらに、去年から週に1回、大学の麻酔科へ研修に行っているんですよ。新たにやりたいことがどんどん出てきて。これまでの14年間の歯科医師人生で今が一番充実しているし、やりがいを感じています。

考えてみれば、もしあのとき水平埋伏した親知らずの抜歯がうまくいかなかったら、「矯正だけ」に戻っていたかもしれません。それがたった3年でここまでスピード成長できて、チャレンジもするようになれました。そういう意味で、すごくサージテルを活用させていただいていますね。