逸見 優 先生

見えるからこそ疑問が湧き、さらなる高みを目指したくなる!

逸見 優 先生

医療法人社団 永井歯科医院松前診療所(北海道松前町)

EVK800(10倍)  High Intensity

北海道松前町――。
松前城がそびえるこの地で、予防の大切さを伝える啓蒙活動と拡大鏡『サージテル』を使った精密治療を提供し続けている逸見 優先生。
着任した当初、地域の方々が求めていたのは"安くて早い歯科医療"でした。
それが7年経った今、自費率が50%を超えてさらに増え続けているといいます。
サージテルと共に歩んできた"成長の軌跡"と"目指す未来"をお聞きしました。

いつ、どんなきっかけで拡大鏡を使い始めたのですか?

大学卒業後、研修先としてお世話になった恩師がサージテルを使われていたのがきっかけです。歯科医師1年生の私にとってサージテルは〝高嶺の花〞でしたが、憧れの先生に少しでも近づきたい一心でなけなしのお小遣いをかき集めて購入しました。

仕事に対してシビアな先生で、「歯科業界の人間にだけでなく、社会に尊敬される歯科医師になってほしい」「先生と呼ばれるにふさわしい立派な仕事をしなさい」と口癖のように言っていました。当然、ご自身に対しても厳しく、決して妥協を許さない。「歯科医師ってやりがいのあるカッコいい仕事だな」と思わせてくださいました。

その先生が「最も信頼性が高い。確実にいいよ」と話し、肌身離さずつけていたのがサージテル。凛とした姿に一発で惹き込まれました。知識や技術を学ぶだけでなく、環境を整えることも大切。きちんとしたツールを使うことで、パフォーマンスは高められる。だから、こだわりを持ってツールを選び使わなければいけない。もはや他の拡大鏡は目に入らず、サージテルが唯一の選択肢でした。

念願のサージテル(2.5倍)を手に入れ、どんな気持ちでしたか?

私にとって、サージテルは憧れのブランドルーペ。初めてかけたときのことは忘れません。自分の姿を見て"イケてるな!"とニヤけてしまいました。特にオークリーのデザインはすごくオシャレじゃないですか。見せびらかしたくて仕方なかったのを覚えています。

正直、使いこなせるようになるまでには少し時間がかかりました。なぜなら、見えるから"もっと、もっと"とこだわってしまうんです。その中ではっきりと感じたのは、補綴の精度。再製作がまったくなくなって、適合がすごくよくなりました。もうぜんぜん違います。結局、裸眼のときは感覚で形成しているんですよね。拡大してはじめて、"今までいかに見えていなかったか"ということに気づきました。

2.5倍から一気に10倍へとアップされていますが、
高倍率を求めた理由をお聞かせいただけますか?

臨床経験を重ねるうちに、根管治療や歯根端切除手術をはじめとする難易度の高いケースにチャレンジしたくなってきたんです。そのためには高倍率が必要。それで、このときもやっぱりお小遣いをすべてつぎ込んで10倍のサージテルを購入しました(笑)。

高倍率を求める理由がもう1つ。この松前の地で歯科医療を提供するようになって突きつけられた現実です。来院される7、8割が再治療の患者さんなんですよ。もしかしたら精度の低い治療が広まっているのでは? こんな診療をしていたら、誰も「歯科医師って立派だね」なんて言ってくれない。もうプライドが許しませんでした。

 どれだけメインテナンスに来てくださっても、そもそもきちんとした治療がされていないと予防しきれないですよね。〝精密な治療〞と〝メインテナンス〞の2つの軸が機能してはじめて、歯を守れる。予防=精密な治療だし、精密な治療=予防。ジルコニアとかe-maxセラミックがキレイと言ったって、天然歯にはかないません。1億倍キレイですよ。それを守っていくのが、私の仕事だと考えています。

10倍のサージテルは、逸見先生にどんな世界をもたらしましたか?

10倍のサージテルを使ってからは、歯根端切除手術などの難しい治療でも成功率100%! 特にライトを使うとぜんぜん違いますね。立体的に見えるようになって、歯根膜の濡れ渇きの程度や厚みまでわかるんです。

それくらい見えるから、余分な歯根膜を除去する心配もないし、残したい組織をきちんと残せます。汚染されているところが少し茶色っぽくなっている状態、歯根膜がまったくなくなってツルンとしたセメント質、そのセメント質と歯根膜の境がはっきり見えたり……。どこを除去しなければいけないかが感覚ではなく、明瞭明確に視覚で捉えられるんです。

感覚や経験に頼る医療から、きちんと視覚で捉えた根拠と確信に基づく医療へとステージが変わる。それもガラッと! まったく違うレールを歩き始めることができました。

7年前からまき続けてきた"患者教育"の種が花開き始めているそうですね。

せっかく技術を学んでも、それを求めてくれる患者さんがいなければ宝の持ち腐れ。逆にいくら歯の大切さを啓蒙しても、技術がなければ歯は守れません。何も始まらないんです。だからこそ、患者さんを育てながら自分自身も成長していくことが重要になってきます。

私がこの診療所に着任した当初、残念ながら地域の方々が感謝するのは安くて早いこと。再発のない精密な治療を声高に叫んでも、無関心でした。それでも地道にコツコツ伝え続けてきたんです。設備投資をしながら、歯科医師として学び成長しながら、健康教室などを開いて患者さんや地域の方々にわかっていただきながら……。そうした活動を7年続けてきて、ようやく歯を大切にする患者さんが増え始めています。

今年に入ってから自費率が急激に上がって、50%を超えました。紹介で函館から2時間かけて来院してくださる方もいるんですよ。「丁寧にしてくれてありがとう」って言ってもらえたときなんか最高!アドレナリンが出まくりですよ(笑)。

歯科医師として早い段階から拡大世界を知ることの意味を聞かせていただけますか?

もしサージテルと出合っていなければ、自分で限界をつくって「こんなもんだろう」で終わっていたのではないでしょうか。見えるからこそ疑問が浮かび、勉強しなきゃ、トレーニングしなきゃってなります。おかげで今、勉強漬けですよ。でも、それが楽しくて楽しくて! 大学時代に教授が「楽しいから頑張るんじゃない。頑張るから楽しくなるんだよ」と言っていた意味が、今はよくわかります。

大切なのはトップと出会い、トップに触れ、トップを経験すること。一流に触れてはじめて、その世界観を感じられると思うんですよね。そういった意味でも、サージテルはルーペの最高峰! 「高級で手が出せない」という声も聞きますが、最高峰だからこそ到達できる世界があるんです。きちんと手入れすれば一生使えて、歯科医師人生をずっと一緒に歩んでいくパートナーになってくれます。

若い先生に言いたいです。卒業してすぐだろうが、患者さんの前に立ったらプロの歯科医師。「自信がないです」なんて言えませんよね。であれば知識も技術も経験も乏しいぶん、少なくともサージテルという立派な鎧で身を固めて患者さんと接するのが義務ではないでしょうか。ツールとの出合いが歯科医師人生を変える。決して大げさではなく、私はサージテルと出合って大きく変わりましたよ。